宝石
 
宝石になった日

夕立が屋根を叩いた唄 窓の外で世界を洗った
掌にはなんにもない ただなんとなく眺めて何分

君は夜の空を切り裂いて 僕を照らし出した稲妻
あまりにも強く輝き 瞬きの中に消えていった

あとどれくらいしたら普通に戻るんだろう
時計の音に運ばれていく

あの温もりが 何度も聴いた声が 君がいた事が 宝石になった日
忘れたように 笑っていても 涙越えても ずっと夢に見る

太陽は何も知らない顔 完璧な朝を連れてくる
丸めた背中で隠して 冴えない顔 余計なお世話

出来る事はあんまりないけど 全くないわけでもないから
全自動で続く日常をなんとなく でも止めないよ

出来るだけ先の未来まで見届けるよ
出来るだけ先に運んでいくよ

こんなに寂しいから 大丈夫だと思う
時間に負けない 寂しさがあるから
振り返らないから 見ていてほしい 強くはないけど 弱くもないから

瞬きの中 消えた稲妻 雨が流した 君の足跡
瞬きの中 掌の下 言葉の隙間 残る君の足跡

増えていく 君の知らない世界 増えていく 君を知らない世界
君の知っている僕は 会いたいよ

ひとりじゃないとか 思えない日もある
やっぱり大きな 寂しさがあるから
応えがなくても 名前を呼ぶよ 空気を撫でたよ 君の形に

あの温もりが 何度も聴いた声が 君がいた事が 宝石になった日
忘れないから 笑っていける 涙越えても ずっと君といる

君がいた事が 宝石になった日 




稲妻


稲妻という単語は「宇宙飛行士への手紙」で、共有したかった一瞬というような意味で使われていましたが、今回はどういう意味でしょう。


君は夜の空を切り裂いて 僕を照らし出した稲妻
あまりにも強く輝き 瞬きの中に消えていった


一瞬で現れ一瞬で消えてしまうもの。
強い衝撃を伴うもの。
強く光るもの。
大抵雨と一緒に現れるもの。


稲妻の持つこういった要素を「君」も持っていたから、「君」を稲妻に例えたのでしょう。

「君」は「僕」の暗闇(夜)を照らしてくれた存在であり、「僕」のそばからあまりにも早く消えてしまったものなのだと思います。


「君」が雨と一緒に現れるものというのはぴんときませんが、『雨』『夕立』という単語が使われているということはやっぱり関係があるようです。



夕立が屋根を叩いた唄 窓の外で世界を洗った


『窓の外』からどこか他人事のような、「僕」に関係のない雨のような印象を受けます。少なくとも「僕」が雨の下びしょ濡れになっているのではありません。とすると、「僕」が泣いていることを雨で例えているというのは違う気がします。



『世界を洗った』とあるので、「君」が現れた前後でまったく景色が変わって見えた、と考えることも出来ますが、この雨は『夕立』なのでそれも少し変です。
時系列的には『夕立』→夜が来る→「君」という稲妻が現れる、となるはずなので、「君」が現れるのは夕立が世界を洗ったあとなんですよね。
(あるいは夜「君」という稲妻が現れて後日夕立が屋根を叩いたのかもしれませんが、どのみち稲妻は夕立ちと共に現れたのではなさそうです。)


夕立は一体何を表しているのでしょうか。『夕立が屋根を叩いた"唄"』なので、この唄がなにを指すのかが肝になるのかなと思いますが、わかりません。









宝石


あの温もりが 何度も聴いた声が 君がいた事が 宝石になった日


温もりや何度も聴いた声や「君」がいた事が宝石になるとはどういうことでしょう。

宝石の持つ要素としては、
輝いている、装飾品になる、固体である、頑丈である、等でしょうか。


「君」の全てを輝く宝石として身に着けていく、というように解釈すると『ずっと君といる』に綺麗に繋がります。



「君」とは何かの理由で永遠の別れをしたようなので、もう「君」との記憶は増えていきません。
「君」と一緒にいる間は増えて膨らんでいった「君」との思い出が、別れてもう増えずに固まって結晶したものが宝石なんじゃないか。つまり「宝物」や「黄金」などではなく『宝石』なのは、確実に変形しないものであるからなんじゃないか。と邪推しています。

単に、頑丈でどんなことがあっても壊れない輝くもの、というように考えるのが『宝石』という単語が選ばれたことの理由の無難な説明になるかと思います。


宝石の内容は、端的に言えば「君」との思い出ですね。もっと掘り下げるならば「君」が現れたことで「僕」の中に生まれたもの全て、ということになるんだと思います。









『宝石になった日』はいつのことだろう



「君」との別れの日が、「君」がいることが「君」がいた事になってしまい、もう思い出でしかない宝石になった日と捉えることも出来ますし、
「君」を思い出にできた日(涙越えた時)が「君」といたことを無機質な宝石に変換できた日と捉えることも出来ます。


どちらが正しいのか、よくわかりません。











瞬きの中 消えた稲妻 雨が流した 君の足跡
瞬きの中 掌の下 言葉の隙間 残る君の足跡


この『雨』は時系列的に『夕立』とは違う雨だと思いますが、雨が流した「君」の足跡がなぜ掌の下には残っているのでしょう。

掌という言葉の受け皿で「君」がいた痕跡(足跡)を描写しようとして全く出来ずに指の隙間からこぼれ落ちた、と半ば妄想に近い解釈をしてみましたが、これでは直前の『雨が流した』の意味が通りません。



物理的には「君」の足跡が流されてしまったけど、「僕」がなんとか言葉で残そうとして、結局言葉にはならずに、感覚に近い部分で「君」の足跡が残ったよ、という感じでしょうか。難解です。


また、ここまでの解釈は掌が上に向いていることが前提なので、掌をもし下に向けているような状況だとしたらまた意味が変わってきます。
実際、『空気を撫でたよ 君の形に』という歌詞があるので掌が下を向いていてもあまり不自然じゃありません。










増えていく 君を知らない世界


増えていく 君の知らない世界 増えていく 君を知らない世界
君の知っている僕は 会いたいよ


「君」を知らない世界が増えていくのは「君」が亡くなったからのように感じます。
でも『世界』を「僕」の周りの世界と解釈すれば、単に「僕」の環境から「君」がいなくなったというようにとれるので、生き別れでも良さそうです。

世界は「君」の知らないように変化していって、その中で僕は「君」の知っているまま、といった感じが『君の知っている僕』から滲み出ています。世界に置いていかれそうになりながらも必死に続けていく「僕」は、やっぱり「君」と別れた時から中々進めないんでしょうね。





Butterflies(通常盤)
BUMP OF CHICKEN
トイズファクトリー
2016-02-10